喉頭がんについて
喉頭とは前頸部のほぼ中央に位置し、いわゆる「のど仏」のことです。その「のど仏」付近にできる癌を喉頭がんといいます。肉眼でも確認が可能なために発見がし易いとされ、初期症状では喉の風邪と同じような症状がおこります。喉頭がんは60歳台後半に発症のピークがあり、発生率は10万人に3人程度(全国で約3000名)で、同じ気道系の癌である肺がんに比較するとその発生率は低いと言えます。男女比は男10:女1で圧倒的に男性に多いという特徴があります。危険因子としてはタバコ喫煙とアルコール飲酒です。特に喉頭がん患者の96.5%がタバコ喫煙者という報告もありますので、タバコを吸わなければ喉頭がんには罹らないといっても過言ではないでしょう。また、アルコールの多飲も声門上がんの発生に関与すると言われています。喉頭がん全体の約7割は声帯に発生する「正門がん」で、約3割が声門上がんです。代表的な症状としては声嗄れがあります。患者のおよそ2/3はⅠ・Ⅱ期の早期がんとして発見されており、比較的に完治度が高い癌です。
【喉頭がん】の治療と予後
喉頭がんの治療には放射線治療と手術療法が中心で、手術療法には喉頭部分切除術と喉頭全摘出術があります。
もし、早期がんであれば放射線治療やレーザー治療が行われます。
この喉頭がんの治療においては「声」が出せなくなるなどの後遺症も考慮して術法を決めます。
放射線治療
喉頭がんの治療には切らずに治せる放射線治療が積極的に行われています。
体の外から喉頭に放射線を当てる治療で、治療効果を減じず副作用を最小限に抑えることが可能な治療法です。
通常、1日1回数分間の照射で、治療期間は約1ヶ月半かかり、外来通院治療が可能です。声の質も良好で、ほぼもとの声に回復します。
副作用としては、照射部分のの咽喉頭炎で、通常は消炎鎮痛剤の内服により対応可能です。
考えられる主な後遺症は、咽喉頭乾燥によるのどの違和感です。
喉頭部分切除術
初期の喉頭がんなどで発声機能を保持するために施術される方法です。
腫瘍の部分と周りを切除し、喉頭の健全な部分をできるだけ残すようにします。
切除される範囲の大きさや施術後の治癒状況によりますが、声帯が切除範囲に入ると、程度の差はあれ嗄声が残ります。
声門上部が大きく切除されると、誤嚥しやすくなりますので嚥下練習が必要となります。
喉頭全摘出術
進行した喉頭がんに対して行われる施術方式で、喉頭を周囲組織も含めて摘出を行います。
喉頭を摘出すると喉元に気管孔が設けられ、鼻や口を空気が通らなくなります。
喉頭の摘出によってできる、この気管孔は永久に閉じれることはありません。
故に、声が出なくなる他に、鼻をかめない・臭いをかげないなどの予後を送る事になります。食事は手術前とほぼ同様にできるようになります。
喉頭の働きは、日常生活ではあまりにも当然のごとく機能するため、いざ障害が生じた場合の不自由さは非常に大きいものとなります。
この気管孔が閉じれない事によって、日常生活において発声不可以外にも以下のような種々のハンディキャップ(後遺症)が生じます。
気管炎を起こしやすい、胸までしか入浴できない、匂いがわからない、口から吐息できない、鼻がかめない、息を止めて力むことができない、など不自由な事が多々あります。
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